帰宅する途中の階段を一段一段 のぼりながら
電線、電柱、住宅の屋根を眺めていた
空は黒くて さっきまで ピンクモーメントと呼ばれる
現象の空模様だったのに
あの日もそういえば
ピンクモーメントだった
夏の終わり
影が二つが繋がる影
買い物帰りでビニール袋に入れられた
夕飯の素材たちと スナックお菓子を
二人で持っていた
夕焼けにしては やけに明るくて
不思議な色だった
そんな日だったか
『もう わからないよ』と君が云った
僕もわからなかった
ただ いえることは
そんな どうしようもない思い出が
こんな空と繋がるなんて
少しだけ 胸が苦しかった